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沼地に生息する玉ねぎの皮

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英語は、というより、言語は、沼であり、生き物である。ベトベトンみたいなものだろうか。

言語は今まさに使われるなかで変化しているものであり、その正しさを固定しておくことはできない。使われていくうちに、なぜか意味が拡張したり反転したりする。なぜ「貴様」が相手を挑発するような言葉になってしまったのか貴様には分かるまい。「やばい」がいい意味でも悪い意味でも使われるようになり定義が拡散していったのもやばい。

そしてその生き物の姿を捉えようとすると、どこまでも深みにはまってしまう。言語は使われることが第一の目的であり、正しく使われているかどうかは関係がない。言葉の正しさを捜し求めることは、剥いても剥いても芯のない玉ねぎの皮のようだ。沼であり、生き物であり、玉ねぎの皮である。

 

フレンズは友人同士のフランクな生きた英語が聞けるすばらしいドラマではあるが、それゆえアメリカの時事ネタや俳優ネタもよく出てくる。あのCM好きなの、という会話が出てきても、そのCMはもはや見ることはできない。10年以上前の玉ねぎの皮はもうしなびている。

また、構文や単語の問題というよりは、文章力が必要となってくるような会話も出来てくる。つまり、フレンズの会話を仔細に正確に追うことは、あまり効率のいい事とはいえない。よく意味の分からない英文は飛ばして、気に入ったところだけ覚えたりするのがいいのではないだろうか。

たとえばエピソード2-1のチャンドラーとテイラーのおじさんとの会話。

 

Frankie: How long do you want the cuffs?

Chandler: At least as long as I have the pants.

 

cuffsはズボンの折り返しのことなので、「折り返しはどのくらいの長さにする?」というわけだ。それに対してのチャンドラーの返答が若干しっくりこない。最初、「おれの持ってるパンツと同じくらいにして」ということかな?と思い、いや「おれがパンツを持ってることと同じ長さにして」?なんだかよく分からないな、という感じであった。

そこで検索するとこれである。

フレンズ2-1その3: シットコムで笑え! 海外ドラマ「フレンズ」英語攻略ガイド

「折り返しはどれくらいの長さにする?」「少なくともおれがパンツを持ってる間は」

なるほど、折り返しの長さを聞いたフランキーに対して、時間の長さで返したチャンドラーというわけである。面白いし腑に落ちてすっきりしたが、ところでこのブログの方はTOEIC満点だそうだ。満点の人が一旦は訳し間違えている。それが私に分かるわけがない。というか、これは英語の問題ではない。

こういうものを全て追っていくと、英語を勉強しているのかなんなのか分からなくなるので、ほどほどにする。特にチャンドラーのジョークは、ウィット過剰なので追いすぎに注意する。好きだが。

 

同じエピソード2-1でのチャンドラー絡みで余談だが、フランキーに股間を掴まれたチャンドラーが「cupping.」と言うシーンがある。

握る・掴むという意味の動詞なら他にもあるが、ここでcupという動詞を選んだのはおそらくその手の形やしぐさによるのだろう。包み込むような、やさしい手触りが伝わってくるようだ。やめて欲しい。

英語のニュアンスを感じるために、私はgoogleの画像検索をよく利用する。この「cupping」も、手で包み込むような画像が出てきたりするだろうか?と思い画像検索をかけてみると、結構グロい画像が一面に表示された。Oh my god.

どうやらcuppingは、背中にカップ型の吸盤を付けて血を吸いだす健康法の名前として主に使われているようだ。そしてこの画像集は、その健康法の被害写真である。吸盤で背中を吸いすぎて円形に内出血している赤黒い画像でびっしりである。

タバコもcuppingも、吸いすぎに注意というのが今回の教訓である。